【完結】無口な王子様
卒業式が終わり、橘先生が私の元へやってきてくれた。
「橋本さん、ありがとう。よかったよ」
薄い水色のワンピースに身を包んだ先生は、涙で目が潤んでいるようだった。
数日前まで巻かれていたギブスは外れていた。
「どう?傷は癒えた?」
「いえ、まだ・・・でも少し落ち着きました」
「そっかぁ。まぁ、若いんやから、なんでもできるよ」
先生は優しい笑顔と共に、私の背中を二回叩いてくれた。
そして大勢の卒業生の待つ中庭へ向かった。先生ありがとう。
圭と話す勇気が出るまで、ピアノを弾いて考えてみます。
そしてちゃんと理由も聞いてみます。
先生、ありがとう。