【完結】無口な王子様
「奈緒・・・ずっと一緒にいてくれる?」
「うん」
俺は奈緒を抱きしめる力を緩めた。
そして、奈緒と顔を見合わせて、笑った。
「これ開けていい?」
「うん」
奈緒はラッピングされた箱を丁寧に開けて、目を輝かせた。
「食べていい?」
「うん」
奈緒は大きな口を開けてクッキーを食べた。
久しぶりや・・・奈緒のこの笑顔。
「うわぁ、おいしい!ありがとう」
奈緒はこれ以上ないくらいの笑顔をくれた。
「でも・・・」
えっ?
でも、何?
俺、何かした?
「ちょっと多すぎない?」
えっ?そんなこと?
「圭、私を太らせようとしてるでしょ!」
さっきまで嬉しそうにしてたのに、今はふくれっ面。
コロコロと変わる表情がおもしろい。
なんて楽しいんや・・・。
「前にも言ったやろ?奈緒は痩せすぎ。ってか、また痩せたやろ?」
「・・・・・・」
きっと辛くて食べれなくて痩せたんな・・・。
「さっき、抱きしめた時、ガリガリで折れるかと思った。でも・・・・・・」
「でも・・・?」
「胸はあるんやな」
みるみるうちに奈緒の顔が赤くなるのがわかった。
「圭のあほ!」
奈緒はそう言うと俺に背を向けた。
「奈緒?」
「圭なんて知らん!」
かわいい・・・。
かわいすぎる!!
「な〜おちゃん。こっち向いて」
「そんな甘い声出すなんて反則」
そう言うと、赤い顔のまま、こちらを向いた。
「こんな俺、嫌い?」
「・・・悔しいけど好き」
再び、奈緒は俺に抱き着いてきた。
クッキーの甘い匂いが俺の思考回路を狂わせる。
「ずっと一緒に居てような」
「うん」
俺の胸の中で奈緒は大きく頷いてくれた。