【完結】無口な王子様
トリプルデートの場所は遊園地。
冬休みということもあり混んでいた。
梶原くんは黒の上着に身を包み、寒そうにしていた。
遊園地に入って半時間くらいしか経ってないのに、他の2組とはぐれてしまった。
きっと、理香が気を使ってくれたんやなぁ。
それか、自分たちが二人きりになりたかっただけやね。
そんなことを考えながら歩いてたから、私まではぐれそうになった。
梶原くんは、「はぐれるから」と、さりげなく私の手を取ってくれた。
やばっ、恥ずかしいよ。
でも恋人同士みたい・・・。
いろんな乗り物に乗って、楽しい時間を過ごしていた。
会話なんてないけど、繋いでいる手が温かいから、全く気にならなかった。
「あっ、電話・・・」
梶原くんが携帯を取り出し話し出した。
「木下から。もう昼だから、メシ食おうって」
「うん」
「じゃあ、行こうか」
一度離した手を再び差し出してくれた。
ここが私の場所になればいいな・・・。