破滅の魔導師
「解除」
私が呟くとウォーターボールはただの水になった。
さて、お越しにいくかなーっと
横たわるユウヤに近付いた
咳き込むユウヤは苦しそうだった。
「ごめん。やりすぎたよ。」
私が謝るとユウヤはヨロヨロと立ち上がり言った。
「お…まえ、なにも、んだ…」
は?
謝ったあとの答えがそれ?
普通
大丈夫だよ
とか
負けたよ…
とかじゃないの?
「なにもんっていわれてもなぁ。ただの女の子です」
にこやかな笑顔で答えてあげた。
「普通の女がこんなことできるはずねぇ。ウォーターボールだって普通は上位魔導師が使える技だ。」
あ、そうだったんだ。
知らないし。
「まぁさ、わたしは、ふつうの女だよ。ただのね。」
沈黙が私たちを包む
観客もユウヤ様が負けたのがびっくりなんだろう。
「じゃぁね。ユウヤ様。わたしシキをまたせてるんで」
手を上げ、後ろを向いて帰った。
シキがまってるんだ。
早くしなくちゃ。
「あいつ、仲間に入れる」
そう、ユウヤが呟いたことは、わたしは知らない。