エリート同期のプロポーズ!?
……そうかぁ。


「お母さんや、弟さんとは……」


余計な詮索はしない方がいい、と分かっているのについつい聞いてしまう。


そういう迷いが出て、語尾が濁る。


「母親はねぇ、難しいかな。弟とはよく話すし、たまに会うよ」


あたしの意図を汲み取って、さらりと答えが返ってくる。


「で、弟は父親に瓜二つ。二卵性だなってしみじみ思うよ」


「そっか……」


聞いたところで、気のきいた返事なんて出来やしない。


ただの興味本意なんて、最低。



だけど、そういう複雑な事情が見えてくると、志帆の言っていた『不器用な人』って言葉が浮かんでくる。


あたしは、ごく普通の家庭で育っているから。


お前なんかに何が分かる、と言われればそれまでなのに、絢斗君はそんな壁を作らない。


支えてあげられるのかな?
< 242 / 376 >

この作品をシェア

pagetop