エリート同期のプロポーズ!?
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「それではー、摩耶の嫁入りと、李花の嫁入りを祝してー、乾杯っっっ!」
志帆の乾杯の音頭と、ぶつかり合うジョッキの音が8月の夜空に吸い込まれていく。
ここは、前に志帆と二人できたビアガーデン。
「いやいやいや、あたし結婚するなんて決まってないし……それを言うなら志帆のが絶対に早いし!」
「なーに言ってんのよ、付き合う前からあんなに大きい指輪もらっておいて」
あたしが、絢斗君とちゃんと『付き合う』となって、もう1ヶ月が経ってしまった。
あたし達の会社は主に文房具を取り扱っていて、忙しさには波があるのだけど、この時期は割りと忙しい。
9月に、来年度に向けた新商品の展示会とか諸々ある関係なんだけど。
同期の独身組で中々集まれず、今日になってやっと皆が揃いそうな……。
だけど、央の姿はまだない。