エリート同期のプロポーズ!?
「だけど、俺は央と接するうちに、自分の気持ちに気がついたんだ。

俺は、あいつをずっとずっと羨ましいと思ってて。

だから、大学もあいつの志望校を受けて受かり、就職だってあいつの憧れだった泉商事にした。

……それなのに」


絢斗君は、ハンドルに手をかけ、前を向いていて、表情が見えない。


「その都度、あいつスゲーなー、さすが兄貴だな!って言うんだぜ?

自分の事のように喜んでるみたいな顔して。

……馬鹿にされてる気がして」


……そんなことない。


央はきっと本当に絢斗君の事を凄いと思ってたんだ。


央は、人の幸せを喜べる人だよ。


「あいつが俺を誉めれば誉めるほど、俺は自分が嫌になって。

そんな風に俺にニコニコ出来るくらい幸せに生きていたのかと思うと悔しくて」


「それは……」


言いかけてやめる。


それは違う、と言いたいけれど、あたしが何の根拠もなく、軽々しく口を挟めることじゃない。
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