私の師匠は沖田総司です【上】
師匠、蒼夜叉って知っていますか?
トンボが辺りを飛び、茜色の夕日が西に沈む頃。

「よしっ、今日の稽古は終わり!」

「ありがとうございました!」

隊士と一緒に10番組の組長である原田さんに頭を下げます。

フラフラとした足取りで屯所の中に戻ろうとしていると、背中をトンッと叩かれる。

「よっ、お疲れ様」

「原田さん。今日はありがとうございました」

「おう、こっちこそありがとうな。天宮のおかげで、俺の隊士たちの良い刺激になった」

「そうですか?私、特に何もしていませんけど」

「いや、そんな事ねぇって。俺の所の隊士全員がおまえに敵わなかったからよ。やっぱりおまえ強いよ」

「ありがとうございます。でも、原田さんには敵いませんでしたよ」

今日は10番組に仮入隊をしていました。そこで、練習試合を行ったのです。

結果、一般隊士には全勝したのですが、原田さんには負けました。

やはり、組長クラスは一般隊士とは違いますね。

「それはしょうがねぇだろ。天宮は俺と戦う前に隊士達と試合をしたんだ。

なのに、体力が無くなっているおまえに負けたら、組長としての面子は丸潰れだって」

「……原田さんはそう言いますが、たぶん体力が全開でも、私は原田さんには勝てませんよ」

「どうしてだ?」

「原田さんは槍の使い手ですよね。私、槍の人とは全然戦ったことがないんです。経験が不足している為に、動きの先読みもままならない。

今の私じゃ、原田さんには勝てません。刀だけではなく、槍の戦い方も学ばないといけないです。まぁ、学ぶといっても見切れる程度ですけどね」
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