私の師匠は沖田総司です【上】
夕日が沈み、空が薄暗くなってきた頃。

「はあぁぁぁぁぁ!!」

私は手作りの的に向かって木刀を突き出す。

一撃目は腹の部分に当たる。

二撃目は胸。

よしっ、ここだ!

足に力を込め、最後の一撃を的に当てる。すると的はミシミシと音を立てて、真っ二つに折れた。

初めて感じた、三段突きの感触にグッと手を握りしめる。

「やった、成功だ……。師匠、三段突きが成功しました!」

嬉しさのあまり私は子供みたいに飛び跳ねる。

三段突きが成功するまで約1年かかった。

最初はなかなかできなくて、何度も諦めそうになったけど、その度に師匠が厳しくも優しく励ましてくれた。

二段突きができるまでに半年、三段突きにもう半年、やっと……やっと成功した。

師匠の必殺技が私にもできるようになった。

嬉しすぎる……、嬉しすぎて涙が溢れてきそうだった。

『おめでとう、蒼蝶』

師匠が笑顔で拍手をしてくれる。

『まぁ、まだ実践では全然使い物にならないけどね』

おおう、師匠厳しいです。

飴と鞭作戦ですか……。なかなか効きますね。

『でも、本当によく頑張ったね。蒼蝶ならいつか必ずできると思ってたよ』

そう言って、師匠は頭を優しく撫でてくれる。

飴と鞭の後に、また飴……。飴と鞭の使い方が完璧です、師匠。
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