私の師匠は沖田総司です【上】
「焦って良いことは無い。もし稽古のやり過ぎで体でも壊してみろ。それこそ今までの努力が水の泡になる」
確かに一君の言う通りだ。体を壊したら意味がない。
もちろん今までの努力が水の泡になるのもだけど、何より近藤さんに迷惑を掛けてしまう。
土方さんに迷惑が掛かるのはどうでも良いけど、近藤さんにまで迷惑が掛かるのはダメだ。
ここは大人しく一君の言うことを聞いておいた方が良いかもしれない。
「今夜は大人しくするよ」
「それが良い」
ここで初めて一君の表情がやわらかくなった。
それからしばらく薄暗い道を歩いていると、不意に一君が足を止めた。
「どうしたの」
「今、屯所から人が出てきた」
「人?」
前を見ても、闇が広がっていて奥を見ることができない。
微かに屯所の入り口が見えるだけだ。
さらに目を凝らしていると、屯所から小さい影が飛び出してきた。
あれは
「天宮?」
一君、君は一体どんな視力してるのさ。
僕には、小さい影が動いているようにしか見えなかったよ。
「本当に天宮さんなの?」
「ああ、確かだ」
「まさか脱走?」
「アイツに限って脱走はないと思うがな」
確かに天宮さんの性格からして、脱走とは考えにくいね。
何事にも慎重に行動する彼女なら、もっと上手に脱走するはずだ。
確かに一君の言う通りだ。体を壊したら意味がない。
もちろん今までの努力が水の泡になるのもだけど、何より近藤さんに迷惑を掛けてしまう。
土方さんに迷惑が掛かるのはどうでも良いけど、近藤さんにまで迷惑が掛かるのはダメだ。
ここは大人しく一君の言うことを聞いておいた方が良いかもしれない。
「今夜は大人しくするよ」
「それが良い」
ここで初めて一君の表情がやわらかくなった。
それからしばらく薄暗い道を歩いていると、不意に一君が足を止めた。
「どうしたの」
「今、屯所から人が出てきた」
「人?」
前を見ても、闇が広がっていて奥を見ることができない。
微かに屯所の入り口が見えるだけだ。
さらに目を凝らしていると、屯所から小さい影が飛び出してきた。
あれは
「天宮?」
一君、君は一体どんな視力してるのさ。
僕には、小さい影が動いているようにしか見えなかったよ。
「本当に天宮さんなの?」
「ああ、確かだ」
「まさか脱走?」
「アイツに限って脱走はないと思うがな」
確かに天宮さんの性格からして、脱走とは考えにくいね。
何事にも慎重に行動する彼女なら、もっと上手に脱走するはずだ。