私の師匠は沖田総司です【上】
……はい?

過去に行って、僕の未来を変えて欲しい?

それって

「よく小説とかで見る、タイムスリップをして師匠の未来を変えるということですか?」

『そうだね』

師匠、それはさすがに無理ではないでしょうか?

タイムスリップなんて非科学的なことが起きる確率は、富士山が爆発する確率より低いと思います。

まず普通に考えて無理です。

でも、タイムスリップか……。

それが出来たら一度はやってみたいと思う。

私は師匠から新選組での生活を聞いていた。

師匠から聞く新選組での生活は死と隣合わせのものだったけど、とても楽しそうだった。

みんなが必死で生きていてとても格好良かったから、一度この目で見て見たかった。

でも、やっぱり一番の理由は師匠の最期を変えたいと思っているから。

師匠は体を労咳……、現代でいう肺結核に侵され、兄のように慕っていた近藤勇さんの為に最後まで刀を振るえずに最期を迎えてしまう。

肺結核は師匠が生きていた時代には死病とされていたから、新選組から離れ、一人療養生活を送っていた師匠の悲しみは計り知れない。

近藤さんのことが大好きだったからこそ、新選組が危機の時、誰よりも彼の隣にいたかった筈だ。

だから私は、過去に行って師匠の未来を変えて、師匠には幸せな最期を迎えて欲しいと思っていました。

そうすれば今ここにいる師匠も成仏できると思うから。

「……私は師匠が生きていた時代に行けるんですか?」

『過去に行ってくれるの?』

「はい、師匠の未来を変えたいです」

私は真っ直ぐ師匠の目を見る。すると師匠の目が優しく細められた。

『ありがとう』
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