私の師匠は沖田総司です【上】
「おっ、ほんの少しやけど蒼蝶ちゃんが笑った。平ちゃん、たまには役に立つんやな」

「たまにってのは余計でィ。それよりも天宮、体の方は大丈夫か?」

「はい」

体は大丈夫です。いつもと変わりません。

でも……。

「蒼蝶ちゃんは体は大丈夫やけど、心の休息が必要やな」

山崎さんの言う通り、心の方がまだ大丈夫とはいえない。

涙は止まったけど、気を抜けばまた泣きそうになる。

人を殺したという罪悪感に、押し潰されそうになります。

「とりあえず、副長に蒼蝶ちゃんが目を覚ました事を報告してくる。

平ちゃん、あまり蒼蝶ちゃんを苛めたらあかんよ。苛めたらまたウチの鉄拳やから覚悟しとき」

藤堂さんに念を押すと、山崎さんは部屋から出て行ってしまいました。

「いくら俺でも病人を苛めたりしませんぜ。山崎君は俺を何だと思ってるんでさァ」

「あはは……」

山崎さんが念押ししたのは、普段の藤堂さんの行いからだと思います。

ここ最近、藤堂さんからのちょっかいが増えましたからね。そのことが原因だと考えられます。

「天宮ァ、何か食いたい物はないですかィ?俺が買ってきますぜ」

「食べたい物ですか?」

いきなりどうしたんですか。藤堂さんが優しいなんてかなり気持ち悪いです。
< 153 / 472 >

この作品をシェア

pagetop