私の師匠は沖田総司です【上】
龍馬さんの真っ直ぐな目が向けられました。

その瞬間、私は逃げられないと思った。

龍馬さんの目には確信しかない。私が嘘を吐いていると確信している。

そして、私がそれを誰かに打ち明けたいと願っていることにも気付いている。

おそらく何を言っても、龍馬さんのこの目は変えられないと思いました。

「あ~あ……」

私は目を離し、額を龍馬さんの肩に押し付けた。

「どうして、分かったんですか?」

「おまえの顔を見たら分かる」

顔を見たら分かる、か。

そういえば、前にも同じこと言われたことがある気がします。

本当に龍馬さんは凄い人です。

「でも、話しても絶対に信じられませんよ」

「それでもいい。話してくれ」

龍馬さんの肩からそっと離れる。

もう一度龍馬さんの目を見たら、さっきと変わらない確信に満ちた目をしていた。

私はその目がとても綺麗だと思いました。

どんな宝石よりも綺麗で、強い意思を秘めた目。

もう一度私は逃げられないと思った。

でも、それと同時に私の中には迷いがある。
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