私の師匠は沖田総司です【上】
お兄ちゃんと過ごす時間は、あっという間に過ぎていきます。

そして空が蜜色に染まる頃になると、女の人の高い声が聞こえます。

「蒼蝶ちゃん、そろそろ部屋に戻るわよ」

「あっ、看護師さん」

看護師さんたちに見つかったら、お兄ちゃんとの時間は終わりです。

私は病室に戻らなければなりません。

「ほら、行きましょう」

「うん……」

看護師さんに手を取られ、病院の建物へと向かうと、お兄ちゃんはいつもこう言いました。

『蒼蝶、また来てね。僕、いつもここにいるから』

その時、お兄ちゃんはすごく寂しそうな顔をします。

お兄ちゃんの悲しそうな顔を見ると胸がキュッと締め付けられる。

だから私は、少しでもお兄ちゃんに笑って欲しくて、明日も来るよ、と笑顔で手を振ります。

そしたら、お兄ちゃんは少しですが笑ってくれるのです。

病室に戻るとまた私は一人ぼっち。

お兄ちゃんとの時間が楽しい分、前よりも寂しさを感じました。

窓の外を見るとお兄ちゃんも寂しそうです。

もしかしたら、私と同じ気持ちだったのかもしれません。

明日もお菓子を持って行こう。

そう誓って私はベットの中で眠りにつき、一日が終わります。
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