私の師匠は沖田総司です【上】
「要するにさっきも言ったけど、僕は山崎君の説教なんてものともしてないってこと。

それよりも、天宮さんがみたらし団子を作ってくれる、こっちの方が僕にとって重要なんだ。

僕は天宮さんが作るみたらし団子が大好きだからね。でも最近、天宮さん元気なかったでしょ?だから食べたくても、頼み辛くてずっと我慢してたんだ。

だから、みたらし団子を作ってくれるって約束してくれて、すごく嬉しいんだ!」

組長が笑顔で言ってくれました。

おかげでモヤモヤしていた胸がスッと軽くなった気がします。

「でも、無理しなくていいからね。まず体調を治して」

「はい、分かりました。でも、いつか絶対みたらし団子作りますね」

「うん、待ってるから。じゃあ、天宮さんに早く元気になってもらえるように、僕のとっておきの物をあげるよ」

組長が私の手を掴むと、廊下を走り出しました。

連れて行かれたのは組長の部屋です。

組長は私に縁側に座っているように言った後、部屋に入ってしまいました。

縁側に座り、外に足を投げ出していると、組長が部屋から出てきました。

その手には白い巾着があります。

「それは何ですか?」

「フッフッフ、手を出してみて」

両手で掬うような形を作ると、組長が巾着の中身と取り出しました。
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