私の師匠は沖田総司です【上】
これは

「金平糖ですね」

「そうだよ。僕の好物の一つ。甘くて美味しいよ」

組長も巾着から金平糖を取りだし、口に含みました。

私も小さな砂糖菓子を指でつまみ、口の中に入れます。

舌でコロコロ転がすと、金平糖の出っ張りの部分が徐々に消え、同時に砂糖の甘い味が口の中に広がりました。

「どう?」

「とても幸せな味がします。美味しいです」

「そっかよかった。普段は誰にもあげないんだよ。天宮さんは特別なんだからね」

特別ですか。

組長、女の子は特別って言葉に弱いんですよ。

しかも笑顔で言われて思わず、胸がときめいてしまいました。

「天宮さんが元気になるように、もっとあげる」

「でも」

「いいから食べてよ。天宮さんにはいつもみたらし団子を作ってもらってるから、そのお返し」

組長は私の手を取ると、掌に金平糖を転がしました。

色とりどりの可愛い形をした金平糖。

私はその内の一つをつまみ上げて、菫色の空に翳しました。

「どうしたの?」

「金平糖の形が星みたいだなと思いまして」

「星の形か。考えた事もなかったな」

組長も金平糖を取りだし、空に翳しました。
< 213 / 472 >

この作品をシェア

pagetop