私の師匠は沖田総司です【上】
晋作が自身の刀を手に取る。ヅラは晋作の刀を見えて眉を寄せた。

「俺は無駄に人は斬らねえって決めてんだ」

「本当に甘い奴だな。殺されたら何にもならねえってのに。……まぁ、あまい奴はおまえだけじゃねえけどな」

晋作がうっすらと口元に笑みを浮かべながら俺の方を見る。

「龍馬、俺があげた銃は大切に持ってるか?」

「ああ、ちゃんとここにあるよ」

懐から銃を取り出してみせると、晋作は満足そうに笑った。

「だが、おめえもヅラと同じで、人を殺さねえからな。いざって時に、宝の持ち腐れにならねえようにしろよ」

「分かってる。俺は国を変えるって志があるんだ。この国を変えるまで死んでたまるか」

「はっ、どうだか」

「俺は本気だ」

断言するように言うと、部屋にいた全員が俺の方を見た。

すると、稔麿が興味深そうな目をした。

「……何だか今までと違うね。言葉に重みがあるって言うのかな?どうしたの?」

「別に。ただ……」

「ただ、どうしたんだよ」

ヅラが聞いて来るが、俺は無視した。

俺は手元にあった地球儀に視線を戻す。

地球儀を回しながら、俺の頭には蒼蝶の顔が浮かんでいた。
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