私の師匠は沖田総司です【上】
「これで天宮君は正式に新選組の1番隊の隊士となりました。これからもよろしくお願いしますね」

「はい!」

山南さんの言葉に元気よく返事をしました。

これで、やっと組長の隣に立って刀を振るえる。

そう思うとさらに身が引き締まるような感じがします。

内心喜んでいると、近藤さんが私を呼びました。

「私たちから君に一つ頼みがあるんだ」

「はい、何でしょう?」

近藤さんが何だか気まずそうに頬を指で掻いています。

首を少し傾げていると、近藤さんが言いました。

「君には隊士の他に、総司の小姓もやってもらいたいんだ」

「え!!近藤さん、僕そんなの聞いてませんよ!」

組長が珍しく大きな声を出しました。本当に知らされていなかったようですね。

慌てる組長を山南さんが器用に宥めます。

「本当は女子(オナゴ)の身である君にあまり負担を掛けたくないのだが、総司は君の指示なら聞くからな。

ほら、実際に君が命じれは総司は野菜を食べるだろ?今まで頑として野菜を食べなかった総司が野菜を食べるんだ。

これは天宮君を信頼している証しだろうな」

……近藤さん、組長が私の指示を聞いてくれるのは、私の作るみたらし団子があるからです。

決して、信頼している訳ではないと思います。
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