私の師匠は沖田総司です【上】
その後、ヨロヨロ組長を連れて道場へ行きました。

道場にはすでに1番隊の方たちが集まっています。

私は皆さんの前に立つ組長の隣に立たされました。

「今日から1番隊に入隊する天宮蒼蝶さん。女の子だけど剣の腕は確かだから、舐めてかかったら痛い目見るよ」

組長、ハードルをあげないで頂きたい。と言うか、そのような紹介をされたら、私の第一印象が悪くなりませんか?

「天宮蒼蝶です。よろしくお願いします」

ペコッと頭を下げます。そして静かに顔をあげたら1番隊の隊士の方々が何だか憐れむような目で見てきました。

「じゃあ、さっそく稽古を始めようか。まずは素振りからだよ。ほらほら、さっさと動く。ダラダラしない」

組長が手をパンパン叩きながら私たちを急かします。

私は急いで竹刀を取って隊士たちの間に並びました。

そして素振りの後、他の隊と殆ど変わらない稽古を行いました。

組長の稽古は厳しいと聞いていたけど、意外と普通でしたね。

むしろ私は物足りさを感じてしまいます。

「さて……」

組長が竹刀を担ぎながら私たちの前に立った途端、周りの隊士たちがゴクッと息を飲みました。

「さぁ、みんなが最も楽しみにしている稽古の始まりだよ。誰からでもいいから好きに打ち込んできなよ」

おおっ、組長と一対一の稽古ができるとは、なんと贅沢な稽古でしょう!

師匠と家の庭で稽古をしていた時を思い出しますよ。

これはすぐにでも組長にお願いしたいところですね。
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