私の師匠は沖田総司です【上】
「あぐっ!!」

天宮さんにできた一瞬の隙をついて、沖田組長の一撃が彼女の身体に叩き込まれる。

「だ、大丈夫ですか!?」

「ゲホッ……はい、大丈夫です」

天宮さんは私が差し出した手には捕まらず、咳き込みながら自分の足で立ち上がった。

「天宮さん大丈夫!?ごめん、強く打ち過ぎた!山崎君呼んだ方がいい?」

「いえ、山崎さんを呼ぶほどのことではありません。それよりも、ありがとうございました」

天宮さんは沖田組長に一礼すると私たちの方を見ました。

「誰も組長と稽古なされないのですか?」

天宮さんの真っ直ぐとした静かな目が私たちに向けられる。

誰も彼女と目を合わそうとせず、全員が俯いてたりしていた。

「貴方もですか?」

「え?それは……」

私を見る天宮さんの瞳は微動だにしない。

まるで私の心の奥まで見透かしそうな目だ。

しばらく彼女と見つめ合っていると天宮さんから目を逸らした。

「組長、もう一度お願いできますか?」

天宮さんの一言に全員が驚きの声をあげた。

沖田組長も今まで見たことがないほど驚いていた。

「いいですか?」

「あっ、うん。いいよ」

「あの、ちょっと待ってください」

私は再び沖田組長と稽古を始めようとする彼女の肩を掴んだ。

細い肩だった。少し力を込めたら折れてしまいそうだ。
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