私の師匠は沖田総司です【上】
ある日、屯所の内を歩いてたら縁側に座り隊服を縫う天宮さんの姿があった。
天宮さんは鋏で糸を切ると、ふぅ、と息を吐く。
「あ、こんにちは」
天宮さんが不意にこちらを見て挨拶をしてきたので、私は軽く頭を下げた。
「え~と、山野さんでしたよね」
「はい、山野八十八と言います。天宮さんはここで何をなされていたんですか?」
「羽織の丈を調節していたんです。私なりに良くできました!」
天宮さんは笑顔で隊服を着て私に「どうですか」と聞いてくる。
多少縫い目に粗はあるものの、殆ど気にする程のものではない。
なにより彼女の指に多く巻かれている包帯を見たら、下手だと言えなかった。
「よく、できていますよ」
「やった、ありがとうございます!これで山野さんたちと一緒に巡察に出れます。その時はよろしくお願いしますね」
「はい」
天宮さんは鼻歌を歌いながら、散らかっている裁縫道具を仕舞い始める。
私の視線は自然と彼女の横顔に向けられた。
天宮さんの頬や額には湿布が貼られている。
腕を見れば指だけでなく腕にも包帯が巻かれていた。
それも当然だ。天宮さんは一緒に稽古を始めてから毎日沖田組長と一対一の稽古を行っている。
毎日沖田組長の攻撃をこの小さくて華奢な身体で受けているんだ。
天宮さんは鋏で糸を切ると、ふぅ、と息を吐く。
「あ、こんにちは」
天宮さんが不意にこちらを見て挨拶をしてきたので、私は軽く頭を下げた。
「え~と、山野さんでしたよね」
「はい、山野八十八と言います。天宮さんはここで何をなされていたんですか?」
「羽織の丈を調節していたんです。私なりに良くできました!」
天宮さんは笑顔で隊服を着て私に「どうですか」と聞いてくる。
多少縫い目に粗はあるものの、殆ど気にする程のものではない。
なにより彼女の指に多く巻かれている包帯を見たら、下手だと言えなかった。
「よく、できていますよ」
「やった、ありがとうございます!これで山野さんたちと一緒に巡察に出れます。その時はよろしくお願いしますね」
「はい」
天宮さんは鼻歌を歌いながら、散らかっている裁縫道具を仕舞い始める。
私の視線は自然と彼女の横顔に向けられた。
天宮さんの頬や額には湿布が貼られている。
腕を見れば指だけでなく腕にも包帯が巻かれていた。
それも当然だ。天宮さんは一緒に稽古を始めてから毎日沖田組長と一対一の稽古を行っている。
毎日沖田組長の攻撃をこの小さくて華奢な身体で受けているんだ。