私の師匠は沖田総司です【上】
「あの、天宮さんはどうして、沖田組長と一対一の稽古を積極的に行うんですか?

普通ならあの稽古には耐えられない筈ですよ」

私の問いに彼女は少し困ったような表情をする。

しばらく悩むような仕草をしてから天宮さんは言った。

「あれぐらいの稽古には慣れてる……からですかね」

「慣れてる?」

「はい。むしろ組長との稽古が楽しくてしょうがありません」

天宮さんの言葉に私は言葉が出なかった。

あの鬼畜以外何ものでもない稽古に慣れている天宮さんって、一体何者なんだ?

悩んでいると天宮さんが「それに」と言葉を繋げた。

「私はもっと強くなりたいんです。そして私に剣術を教えてくれた師匠に見合う弟子になりたい。

それが、師匠への恩返しになると私は思っています」

「慕っているんですね、その師匠を」

「はい!」

普段、控えめな天宮さんがハッキリと返事をしたからこそ、その想いが強く伝わってくる。

ぜひとも天宮さんが絶賛する師匠の稽古に参加してみたい。

「その師匠はどのような人なんですか?」

「第二の沖田組長だと思ってください」

やっぱり遠慮しておこう。
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