私の師匠は沖田総司です【上】
***

組長の遠くなる背中を見ながら私は頭を悩ませていました。

組長が言った“あげ”とは何のことでしょう。

揚げ出し豆腐?

油揚げ?

揚げ物?

う゛~ん、ヒントが少なすぎる。

でも、組長から頂いたリクエストなので、できるだけ応えてあげたいです。

とりあえず買い物に行きましょう。それにはまず、土方さんの部屋に行って外出許可をもらわないといけませんね。

私は土方さんの部屋へ行きます。襖の前で呼びかけたら土方さんの低い声がしました。

「天宮、どうした?」

「夕飯の食材を買いたいので外出の許可をもらいにきました」

「ああ、そうか……」

急に土方さんが黙ってしまいました。

「どうしました?」

「よし、決めた。俺も買い物に行ってやるよ」

「え!そんな悪いですよ!」

土方さんは新選組の中で一番忙しいのに、買い物に付き合ってもらうなんて申し訳なさすぎます!

「遠慮するな。それに部屋に引きこもってばかりで、たまには外に出たいんだ」

「だったらわざわざ買い物でなくても……」

「いいから行くぞ」

土方さんはさっさと身支度を整えると部屋から出てしまいました。
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