私の師匠は沖田総司です【上】
恐る恐るそれが飛んで行った方を見たら、壁にクナイがぐさりと刺さっている。

まさかあれを投げたのって……。

「総ちゃん、蒼蝶ちゃんに何するつもりや」

やっぱり山崎君か!!

組長の顔すれすれにクナイを投げるとか、どういう神経してるわけ!?

頬がひくひくと引き攣るような感じがするけど、僕は笑顔で、そして皮肉たっぷりに言ってやった。

「別にぃ?ただ天宮さんの顔に髪がかかってたから、邪魔そうだなって思っただけだよ。

それが何か問題でもございますか?」

「すまんすまん。総ちゃんの顔があまりに厭らしい顔しとったから、破廉恥なことをするのかと思ったんや。

そないに睨まんどいてや。人間早とちりすることもあるやん」

君の早とちりで命が取られそうになるとか、心から安心して屯所で暮らせないよ。

拳骨一発を山崎君にお見舞いしてあげようと思って拳を作っていると、部屋の戸が開いた。

そこにいたのは山崎君と同じ監察方の島田魁君だった。

「山崎さん、少しよろしいでしょうか」

「ええで。ほなな、総ちゃん。この部屋にあまり長く居たらあかんで」

「はいはい」

分かったからさっさと行きなよ。

僕の様子に山崎君は心配そうな表情をしたけど、部屋から出て行った。
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