私の師匠は沖田総司です【上】
握られた手に、少し力が込められたような気がする。

組長が私の作るみたらし団子を好きだと言ってくれて、とても嬉しい。

お世辞だったとしても、心が温かい物で満たされるような気がしました。

「じゃあ、みたらし団子の材料を買って帰りましょうか」

「うん」

みたらし団子の材料を求め、町を歩く。すると、近くから視線を感じました。

思わず辺りを見渡す。

そしたら私たちが歩いている道の反対側に、龍馬さんの姿がありました。

驚いたように目を見開き、私たちを見ている。

「あれ、坂本龍馬だよね」

組長が龍馬さんの方を見て、呟くように言いました。

二人の間に、張り詰めた雰囲気が漂う。

まさか、組長はここで龍馬さんを捕まえるつもりなのでしょうか。

私は龍馬さんに向かって、声を出さず口を動かして「逃げて」と言いました。

でも、龍馬さんはそこから動こうとしません。静かな目で組長を睨みつけていました。

「あっ」

不意に繋がれていた手が、強い力で引かれる。

そして気付いた時には、組長の綺麗な顔が近くにあって、唇の近くにキスされていました。
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