私の師匠は沖田総司です【上】
まるで龍馬さんに見せつけるような行動。

横目で龍馬さんの方を見れば、歯を喰いしばり、まるで怒りに震えているように見えました。

組長が顔を離し、龍馬さんを挑発するようにニヤリと口の端を上げると、そのまま私の手を引きました。

私はおぼづかない足取りで、組長の後ろをついて行く。

そして、いつの間にか屯所に着いていて、私たちは何かを言って、それぞれの部屋に帰りました。

自室に戻り戸をパタンと閉める。

そして戸に背を預けながらズルズルと床に座った。

組長の唇が触れた部分はまだ温かい。

さっきの光景が頭を駆け巡る。

「組長……どうして?」

どうして、あんなことしたんですか?

好きでもない相手にキスして、何が目的なんですか?

私、この頃、組長が分かりません。

組長がどんな人なのか、分からなくなりました。
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