私の師匠は沖田総司です【上】
そして、その日の夜。

「天宮さん、天宮さん」

廊下を歩いていたら、爽やかな笑顔の組長に遭遇しました。

お風呂上りなのか、黒い着物を着て、濡れた頭の上に手拭いが置かれています。

すぐさま私は回れ右をして、一目散にその場を離れ

「ちょっと待ちなよ」

「ぐえ」

ようとしたのですが、それよりも早く組長の長い腕が伸びて私の後ろ襟を掴みました。

「どうして逃げるのかな~?」

「あ、あははは……」

組長の目が恐ろしいです!!

口元は笑っているのに、私に向ける目は氷のように冷たい!

「僕に言うことあるよね」

「何もございませんが……」

「ふーん、あくまでしらを切る気か。じゃあ、僕から言ってあげる。天宮さんも大阪に行くんだって?」

ギクッ。

「さっ……、さあ、何のことでございましょうか」

「目が泳いでるよ」

ギクギクッ。

「さっきそこで土方さんに会ってね。天宮さんも出張に同行するって話を聞いたんだ。どうやら君は、土方さんに僕から同行の許可をもらったのか聞かれたとき、君はもらったって言ったらしいじゃない。不思議だよね。僕は許可を出した覚えはないんだけど」

ギクギクギクッ。

「これはどういうことかな?」

「あう、その……」

「とりあえず君の部屋に行こうか?」

「……はい」

組長の爽やかな笑顔からにじみ出る怒りオーラ。

私は本能的に察しました。

今の組長に逆らってはいけないと。
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