私の師匠は沖田総司です【上】
「天宮さんが大阪に行きたいのは、僕が関係してる?」

組長の言葉に思わず肩が跳ねる。

「どうして?」というように組長を見つめると、組長は表情を変えずに言いました。

「うまく隠しているけど、天宮さん最近僕によそよそしいよね」

……バレていましたか。

そうです。私が大阪に行きたい理由は組長にもありました。

突然キスしたり、お出掛けで龍馬さんに見せつけるような行動をしたり、最近組長のことがよく分からない。

時間が経った今でも、それは解決していませんでした。

だから大阪の出張に同行して、組長から少し距離を置こうと思っていたのです。

返事に困っていると、組長は「やっぱりね」と呟きました。

「分かった。大阪に行っていいよ」

「本当ですか!」

「うん。天宮さんがよそよそしい態度をとるようになったのは、僕が勝手に接吻したせいだからね」

「っ……!」

「図星みたいだね」

私の分かりやすい反応が可笑しかったのか、組長がクスクスと笑いました。

そして、私に背を向ける。

「とりあえず、僕の髪を拭いてよ」

「分かりました。でも、その前にこれを羽織ってください」

私は近くに畳んで置いてあった羽織を手に取ると、組長に羽織らせました。

部屋の中は寒いのに組長は薄着過ぎます。

このままでは風邪をひいてしまいますよ。
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