私の師匠は沖田総司です【上】
そして大阪出張の日。

天気は晴れ。気温も丁度よく、絶好の旅日和となりました。

「では皆、家茂公の警護は任せたぞ」

屯所出発前、近藤さんたちがお見送りをしてくれました。

近藤さんの言葉に、土方さんは苦笑いします。

「俺と山南さんがいるんだぞ。安心しろよ」

「そうだな!二人なら安心だ!」

ガハハと笑う近藤さんに釣られて他の皆さんも笑います。

「蒼蝶、気を付けるんですぜ」

「はい!」

「でも、やっぱり心配でさァ」

平助君がシュンとした顔で私の頭をナデナデします。

「天宮」

「斎藤さん。組長をよろしくお願いします」

「ああ、総司の食事を見張るんだな。承知している」

「えっ、一君なに?何の話?一瞬、僕の名前が聞こえた気がするんだけど」

近藤さんの隣にいたはずの組長が、私と斎藤さんの会話に割って入ってきました。

「天宮に総司が食事を残さないか見張ってて欲しいと頼まれたのだ」

「一回でも食事を残したらみたらし団子は作りませんよ。それと、ちゃんと暖かくして寝るんですよ。そして外から帰ってきたら手洗いうがいすること。後……」

「分かったから。天宮さんがいつも言ってることちゃんとやるから」

組長はいつも忘れるから心配なんですよ。

「天宮君、そろそろ行きましょうか」

「はい」

「天宮、無茶はするなよ」

「平助の世話は俺と左之がするからな」

「あはは……。原田さん、永倉さんよろしくお願いします」

組長の見張りは斎藤さんに、平助君のお世話は原田さんと永倉さんに任せた後、私は屯所を出発しました。
< 360 / 472 >

この作品をシェア

pagetop