私の師匠は沖田総司です【上】
この時代の移動手段は主に徒歩。

現代で、車や電車などの移動で慣れている私は、出発して半日ちょっとで足に疲労を感じていました。

今は道の途中で見つけた甘味屋で休憩中です。

「ふぅ~……」

「だらしねえな。もうへばったのか?」

土方さんが溜息を吐く私を見て言いました。

……土方さんはまだ元気そうですね。

その元気を4分の1でいいからを分けてほしい。

「もうすぐ大阪ですから頑張ってください。ほら、団子がきましたよ。食べましょう」

「はい」

店の人が中皿に乗った赤色、白色、緑色の三色団子を机の上に置きました。

モグモグと食べると体力が少し回復したような気がします。

「山南さんは食べないんですか?」

山南さんは団子を食べようとせず、お茶だけを飲んでいます。

「ええ、食欲がないので私は遠慮しておきます。二人で食べてください」

「……はい」

道中に気づいたことなのですが、今日、山南さんの元気がないのです。

歩いているときもボーっとしていたり、溜息を吐いたり、とにかく目に見えて元気がありません。

私が「どうしたんですか」と聞いても、山南さんは「なんでもありません」と言うだけです。
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