私の師匠は沖田総司です【上】
***
茜色の光が差す廊下を歩いていると声を掛けられた。
「土方副長」
「斎藤か、どうかしたか?」
そこにいたのは斎藤だった。市中の巡察から帰ってきたばかりなのか、浅葱色の羽織を身に付けたままだ。
「少しよろしいでしょうか」
「ああ、どうした」
「天宮のことなのですが……」
ああ、なるほど。入隊試験の結果を聞きにきたのか。
斎藤は天宮を部屋に運んだ後、すぐに隊士の稽古や巡察に行ったからな。
「合格だよ」
「そうですか」
普段、感情を表に出さない斎藤が本当に安堵の表情を浮かべる。
失礼かもしれないが、斎藤も感情をもった人間なんだと思ってしまった。
会ってまだ間もないはずなのに、天宮はずいぶんとお気に入りになったものだな。
「それで天宮はどこの隊に」
「天宮は1番隊に入りたいらしい」
「1番隊に?」
俺に「なぜ」と目で問いかけてくる。俺は肩をすくめ、俺にも分からないと表現した。
「何で1番隊なんだろうな。いや、まず、なぜ俺たちの隊に1番隊があると知っていたのか……」
斎藤を見ると、斎藤は黙ったまま少し俯いていた。
口が堅い斎藤はいくら入隊希望者だとしても、新選組の内情を話したりしないだろう。
天宮はここの内情を知っていたのか?
まぁ、入隊を希望者なら入隊する場所の下調べをしていてもおかしくはないな。
茜色の光が差す廊下を歩いていると声を掛けられた。
「土方副長」
「斎藤か、どうかしたか?」
そこにいたのは斎藤だった。市中の巡察から帰ってきたばかりなのか、浅葱色の羽織を身に付けたままだ。
「少しよろしいでしょうか」
「ああ、どうした」
「天宮のことなのですが……」
ああ、なるほど。入隊試験の結果を聞きにきたのか。
斎藤は天宮を部屋に運んだ後、すぐに隊士の稽古や巡察に行ったからな。
「合格だよ」
「そうですか」
普段、感情を表に出さない斎藤が本当に安堵の表情を浮かべる。
失礼かもしれないが、斎藤も感情をもった人間なんだと思ってしまった。
会ってまだ間もないはずなのに、天宮はずいぶんとお気に入りになったものだな。
「それで天宮はどこの隊に」
「天宮は1番隊に入りたいらしい」
「1番隊に?」
俺に「なぜ」と目で問いかけてくる。俺は肩をすくめ、俺にも分からないと表現した。
「何で1番隊なんだろうな。いや、まず、なぜ俺たちの隊に1番隊があると知っていたのか……」
斎藤を見ると、斎藤は黙ったまま少し俯いていた。
口が堅い斎藤はいくら入隊希望者だとしても、新選組の内情を話したりしないだろう。
天宮はここの内情を知っていたのか?
まぁ、入隊を希望者なら入隊する場所の下調べをしていてもおかしくはないな。