私の師匠は沖田総司です【上】
「……本当?」

「本当ですよ」

「ここにされたことねぇの?」

龍馬さんに指で唇をなぞられると、さらに顔が熱くなって組長にキスされたことを思い出しました。

「それは……そのっ」

「……」

しばらく私の顔を見ていた龍馬さんでしたが、ゆっくりと顔を離します。

諦めてくれたんだと思ってホッとしたら、瞬く間に手を壁に押し付けられて口の端を龍馬さんにキスされてしまう。

「っ……」

触れるだけのキスはすぐに終わりました。

でも、予想してなかった出来事で全身から火がでると思うぐらい熱くなり、頭は真っ白です。

「おまえがここで働いている間、できるだけ来るから」

「え?」

「俺が呼んだらちゃんと相手しろよ」

それだけを言うと龍馬さんは背を向けて部屋を出て行きました。

パタンと襖が閉まる音がした後、私は壁に背をあずけながらヘナヘナと座り込む。

そして、そっとキスされた場所に触れました。

キスされた場所は熱くて、甘く痺れる様な感じがする。

「龍馬さん……」

しばらく私はその場から一歩も動けずに、夢の中に入る様なフワフワした気分に包まれていました。
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