私の師匠は沖田総司です【上】
それから数日後。

「蒼蝶ちゃん、いつものお客はんが呼んでるで」

「はい、分かりました」

廊下を歩き、お客さんがいる部屋へと向かう。

そして襖を開けたら

「龍馬さん、いらっしゃいませ」

「ああ」

お酒を飲む龍馬さんの姿がありました。

あの日を境に、龍馬さんは宣言通り角屋に通う様になり、私だけを部屋に呼びます。

そのため私はしょっちゅう芸妓さんたちから羨ましがられ、なぜ私だけを呼ぶのか聞かれています。

芸妓さんの話によると、龍馬さんは島原の芸妓さん達からすごく人気があるのだそう。

背は高いしカッコいいし、普段はクールだけど、親しい人に見せる人懐っこいところが堪らないとかなんとか。

「蒼蝶」

私の名前を呼ぶと手に持っていたお猪口を膳の上に置いて、私の肩に額を置きました。

そして私の腰に腕を回す。

……確かに龍馬さんは人懐っこい性格をしてますよね。普段のクールな姿からは想像できないぐらい。

その姿にキュンとくるような、こないような……ギャップ萌みたいなものですかね。

私は思わず手を伸ばし、龍馬さんのプードルのようなやわらかい髪に触れました。

すると龍馬さんの体がビクッと跳ねる。

しまった、龍馬さんは頭撫でられるのが苦手だった。
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