私の師匠は沖田総司です【上】
「っ……、頭撫でるなってゆうたろ」

「あはは、すみません。つい……」

だって、龍馬さんの髪って本当に触り心地が良いんですもん。それが目の前にあったら触りたくなりますよ。

すると龍馬さんが腕に力を込め、そして額を擦り付けるようにして呟きました。

「おまんに触られるとへごな感じになるちや」

「へ?」

今、なんて言ったんですか?

たまになのですが、龍馬さんは土佐弁で話す時があって、訛りが強いと聞き取ることができません。

「あの、さっきの言葉、私にも分かるように話してくれませんか」

「……気にすんな」

気になりますよ。

「それよりも、最近困った事はないか?」

むむっ、話しを逸らしましたね。

でも、どうやらさっきの言葉を訳すつもりは無いらしく、私は諦めました。

最近困った事ですか……。

「そうですね、最近男性のお客様に触られる事でしょうか」

「俺?」

「違います。私が言っているのは知らないお客様の事です」

最近、部屋に料理を運びに来た私の手を掴んだり、お尻を触ってきたりするお客様がいるのです。

ハッキリ言ってかなり迷惑なのですが、相手がお客様だから強く言えなくて本当に困っています。
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