私の師匠は沖田総司です【上】
「じゃあ、俺が男避けのまじないでも掛けてやるよ」

男避けのおまじない?

そんなのがあるんですね。

「ぜひお願いします」

「ん」

龍馬さんは私の肩から離れると、私の着物の襟を掴みました。

「えっ!?ちょっと、龍馬さん!」

「大人しくしてろ」

私の手を動かないようにすると、龍馬さんは露になった私の肌に唇を寄せました。

「っん……」

唇が触れたところから甘い痛みを感じて、無意識に声が漏れる。

「……感じてんの?」

「ちっ、違いますよ!!」

「ふ~ん」

見えないけど、龍馬さんがニヤッと笑った気がしました。

龍馬さんのイジワル。

「まじない終わり」

満足そうな笑みを浮かべて、龍馬さんは離れました。

触ってみてもなんともありません。

でも、あの時感じた痛み……まさか、跡がついてるんじゃ。

「見えねえの?……まぁ、他の奴が見えてたらいいか」

やっぱり跡がついてるんだ!!

龍馬さん、笑っていますが笑い事ではありませんよ!!

「バカバカバカバカー!龍馬さんのバカー!」

私は龍馬さんをポカポカ叩きました。

でも、龍馬さんにはまったく効いていません。

ノーダメージです。

むしろポカポカする私を見て面白がっています。

「絶対男避けの効果はあるから怒んなよ」

「そういう問題じゃ……」

「蒼蝶ちゃん、そろそろ仕事に戻ってな!」

「あっ、はい!」

私はキッと龍馬さんを睨み付けた後、部屋から出ていきました。

「可愛い奴」

そう言って、クスクスと笑う龍馬さんの事は知らずに。
< 409 / 472 >

この作品をシェア

pagetop