私の師匠は沖田総司です【上】
龍馬さんは笑みを深めると指で私の唇を撫でました。
「裏方の仕事までまだ時間があるじゃろ?お望みならシテやるが、どうする?」
一瞬、思考停止してしまいましたが言葉の意味を理解した瞬間、心臓が暴れ馬の如くバクバクと暴れだしました。
「そっ、そんな冗談……!」
「いや、結構本気だけど」
何ですと!?
でっ、でも朝から……じゃなくて!私は龍馬さんの気持ちに応えられない訳で。
「あっ、あの、その……」
視線をウロウロとさせていると、龍馬さんはクッと笑いました。そして口元を押えて込み上げる笑いを堪えているように見えます。
……っということは。
「あ~、やっぱりからかってたんですね!」
「ごめんって、面白くてつい」
「むぅ~……」
下から少しムッとしながら睨みますが、龍馬さんはクスクスと笑うだけです。
私、怒ってるんですよ!少しは反省してください!
「本当、おまん可愛いにゃー」
「にゃー?」
猫の鳴き真似ですか?
「くっ……、そんな可愛い鳴き真似しても許しませんよ!」
「は?何言ってんだ?」
「え?さっきのにゃーって猫の鳴き真似じゃないんですか?」
「違う。土佐の方言だ。本当、おまえ可愛いねって言ったんだ」
はい?