私の師匠は沖田総司です【上】

私はニコッと笑うと腰に差された刀の柄に触れました。

「まさか……あそこにいる奴らとやり合うつもりか?やめろ。死ぬぞ」

「死にませんよ。私には師匠の未来を変えるって使命があるんです。その使命を果たせないまま死ねません」

それに、何も考えがないわけじゃない。

私には不思議な力がある。その力を使ってあの人たちの不意を付けば、この状況を切り抜けらる可能性がある。

危険だと思うけどこれが一番の方法だと思う。

勝負は一瞬で決まる。

「じゃあ、いってきますね」

「蒼蝶っ……!」

私を掴もうとする手を擦り抜ける。

龍馬さん、ごめんなさい。

引き留めてくれた龍馬さんに心の中で謝ると、私は力を解放して一気に走り出した。

ぐんぐん加速し、瞬く間に至近距離まで近付く。

「きっ、貴様……がはっ!」

私の存在に気付いた男の喉を斬ると、赤い血が空を舞い辺りを鮮やかな赤色に染めた。

「よくもっ……!」

「がっ……!」

すぐに喉を斬った男の脇を抜けると、背後にいた男たちの身体を斬った。咽返るような血の臭いに寒気がする。

でも今は気にしてられない。

「覚悟!」

路地に隠れていた仲間が私の身体を刀で貫こうとする。

すぐに反応して逆に一太刀を浴びせようとすると、辺りに銃声が響き渡った。
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