私の師匠は沖田総司です【上】

迫っていた男が声もなく倒れる。

後ろを振り返れば、銃を構える龍馬さんの姿がありました。

「龍馬さん……!」

「馬鹿!油断するな!」

背後から暗い影がヌッと現れ、私の影と重なる。

「えっ……」

後ろを振り返れば腕から血を流す男が刀を振り上げていました。

月の光を浴びて刀身が光る。

突然迫った命の危機を感じた途端、身体が石のように動かなくなる。

「蒼蝶!」

龍馬さんが私の名前を叫ぶ声が聞こえる。それが引き金となって、振り上げられていた刀が下ろされた。

反射的に目を閉じた。

すると

「天宮さん、見ーつけた」

澄んだ声と共にザシュと体を貫いた耳障りな音がした。

恐る恐る目を開く。

刀を振り上げていた男の胸から、白い刃が飛び出していた。

身体を支えていた刀が引き抜かれると、胸を一突きされた男は今度こそ動かなくなりました。

男が倒れると入れ替わるように、影に隠れていた人が現れる。

その人を見た瞬間、私は思わずその人の名前を呼んだ。

「桜木、さん……?」
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