私の師匠は沖田総司です【上】

「龍馬さん!」

名前を呼ぶと抱きしめる力が強くなる。

このままじゃ龍馬さんまで斬られてしまう。

絶望を感じた、その時、横から血に塗れた刀が一陣の風のように飛び出した。

向けられていた白い刃の動きが止まる。

刀を防いだのはあの人だった。

「以蔵、ずいぶん遅かったな」

「ごめんなぁ。思ったより時間が掛かったんよ。でも、助けたんやから勘忍な」

私たちを助けてくれたのは岡田さんだった。

岡田さんは桜木さんの刀を自身の刀で押して、彼女を後退させる。

距離を取った桜木さんをひたと見据えると、普段の岡田さんからは考えられない、氷のような冷たい殺気が放たれた。

「どこの誰かは知らへんけど、この二人を傷付けるならウチが許さへんで」

「岡田以蔵……。まさか幕末の四大人斬りの一人が来るとはね。でも、貴方と戦うのも一興かもしれないわ。ぜひ、お相手願おうかしら」

「ふん、後悔しても知らへんで」

二人が刀を構えた。

でも、二人の決闘は行われることなく、道の向こうから来た人影によって遮られた。

「ちょっと!小鳩!一人で先に行ったかと思ったら何してるのさ!!」

「稔麿?」

やって来たのは稔麿さんでした。

稔麿さんの後ろから高杉さんとヅラさんも走って来ます。
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