私の師匠は沖田総司です【上】
「龍馬、大丈夫か」
「無事みたいだな。それと夜叉姫も」
高杉さんが口元に笑みを浮かべながら私を見ました。
……やっぱり高杉さんは苦手です。
あの冷たい目で見られると背筋がゾクッとする。
「何とかな。それよりおまえらどうしてここに?」
「岡田以蔵って奴から手紙が来たんだ。龍馬を藩邸まで送るから途中まで来てくれって」
「あの手紙を信じて来てくれたんやな。嬉しいわぁ」
「……岡田以蔵か?」
「そうやで」
ニコニコと笑顔の岡田さんに、高杉さんが信じられないと言う様に軽く目を見開きます。
「本当なのか?こいつがあの人斬り以蔵?」
「本当だ晋作。正真正銘こいつが岡田以蔵だ」
「……人は見かけによらねって言葉の良い見本だな」
「それで、アイツは何者なんだ?」
私から離れると、龍馬さんが目で稔麿さんと言い争いをしている桜木さん指図しました。
するとヅラさんは曖昧な笑みを浮かべました。
「つい最近稔麿が拾ってきたんだ。俺たちの新しい仲間……みたいな?」
「……」
「おまえが女嫌いだってのは重々承知してるよ!でも、稔麿が仲間にするって聞かなくてよ!」
……そうか。桜木さんはヅラさん達の仲間なんだ。
だったら桜木さんも私と敵対する立場にいる……。
現状、私はかなり場違いな場所にいるってことですよね。
倒幕派の中に一人だけ、佐幕派がいるんですから。