私の師匠は沖田総司です【上】
「蒼蝶ちゃん、これでウチらの仕事は終わりやね。龍馬はこの人たちに任せて角屋に戻ろう。ほら、桂はんたちも早く逃げてや。騒ぎを聞きつけた人たちに見つかる前に」
「ああ、そうだな。おい、稔麿、小鳩いつまで言い争いしてんだ。もう行くぞ」
私に気遣ったのか、岡田さんが話しを切り出してくれました。
これで龍馬さんとお別れですね。
「龍馬さん、あの……さようなら」
「……」
私の顔をジッと見ていた龍馬さんが私の額を軽く小突きました。
「ばーか。なに永遠の別れみたいな悲しそうな顔してんだ」
「えっ、私そんな顔してましたか?」
「してるよ。安心しろ、また会えるから」
また会える、ですか。
本当でしょうか。私と龍馬さんが会うにはかなりのリスクが伴います。
……でも、龍馬さんの言葉を信じよう。
「はい、また」
「ああ」
2・3度龍馬さんが私の頭をポンポンと撫でる。
しばらく龍馬さんの温もりを感じられないと思うと、少し寂しい感じがします。
「天宮さん」
妖艶な笑みを浮かべた桜木さんが近づいてくる。
さっきのこともあって思わず少し身構えた。
「今日のところは諦めるわ。でも、今度会ったらちゃんと落とし前をつけてもらうから。それまで生きてね」
私から背を向け、桜木さんが桂さんたちの後を追っていく。