私の師匠は沖田総司です【上】
師匠、結婚式です
角屋の裏方の仕事を全て終えて数日後。
再び屯所での生活がやってきました。
「蒼蝶ァ、羽織が破れちまいやした。縫ってくれやせんか?」
「天宮、俺の部屋に茶を持ってこい」
「久しぶりに天宮さんが作ったみたらし団子が食べたいな」
「はいはいはい!少々お待ちを!」
屯所のあちこちから休む間もなく私を呼ぶ声がします。
これじゃ裏方をしていた時と一緒じゃないですかぁ!
私は隊士であって皆さんの世話係じゃないんですよ!
……って。そう文句を言いたくても、口より先に体が勝手に動いてしまいます……。
この時代に来てから雑用係が身に染みついている気がしますよ。
はぁ、と小さく溜息を吐きながら組長にみたらし団子を作っていると、斎藤さんが勝手場にやってきました。
「天宮」
「どうかしましたか?」
「山南さんが帰ってきた。……それでアンタを呼んでいる」
斎藤さんの言葉にピシッと固まり、持っていたおたまをカランと落とす。
とうとう……とうとう山南さんが帰って来た。
師匠、私、天宮蒼蝶は人生最大級の窮地に立たされています。