私の師匠は沖田総司です【上】
それから山南さんと明里さん祝言の準備で慌ただしい毎日を送っていたら、あっという間に当日を迎えました。
その日は前日の大雪とは打って変わり、粉雪が優しく地面に降り注ぐ日でした。
まるで神様が山南さんと明里さんの幸せを祝福しているようです。
「わぁ……」
新婦の控室では明里さんが角屋の女将さんの手を借りながら白無垢に着替えていました。
あまりの美しさに目が奪われるとはまさにこの事。
明里さんが天から舞い降りた女神様に見えますよ。
「ほら、出来たで」
「女将はん、角屋が忙しいのにありがとな」
「ええで。角屋でよく働いてくれた子の晴れ舞台やからな。幸せにならんといけんよ」
「はい……」
「ああっ!泣いたらあかん!せっかくの化粧が崩れてまうやろ」
「……はい、ほんま今までありがとう」
明里さんは目に浮かんだ涙が落ちる前に指で拭いました。
女将さんは明里さんの肩を軽く叩くと「隣の部屋にある荷物を持ってくる」と言って部屋から出て行きました。