私の師匠は沖田総司です【上】
……師匠、貴方から貰った手紙には師匠の姿は見えないけど私の傍にいるって書いてありました。
もしその言葉が本当なら、この光景をどこかで見ていますか?
150年前、師匠が生きていた世界には存在しなかった山南さんの結婚式です。
山南さんと明里さん、とても幸せそうですよ。
これからは明里さんが妻として山南さんを支えていく。
山南さんにとって、彼女ほど強い心の支えとなる方はいないと思います。
明里さんがいる限り山南さんは孤独にはならない。
この先、山南さんが切腹するという悲しい出来事も起きないと思います。
そうなれば組長も悲しい思いをしなくてすむ。
師匠の悲しい気持ちも少しは無くなるのではないでしょうか。
……師匠、私、山南さんの未来が変わった瞬間を貴方と一緒に見たかったんです。
一緒にお祝いしたかった。
叶わないと思うけど、少しでもいいから貴方に会いたいです。
しばらく目を閉じていると、ふいに、誰かに抱きしめられた。
ビックリして目を開いてみるけど目の前には誰もいない。
でも……確かに誰かいる。
見えないけど私を抱きしめている。
まさか
「師匠……ですか?」
震える声で言うと抱きしめる力が強くなった。