私の師匠は沖田総司です【上】

そして学校まで来ると私は師匠と校門で別れ、教室に入った。

すると席に座っていた親友の松本詩織(マツモトシオリ)が私に向かって手を振った。

詩織はボブカットが良く似合う可愛い女の子だ。

「蒼蝶ちゃん、おはよー」

「おはよう」

「今日から体育剣道だね~。憂鬱だな~。しかも1時限目からだからさらにやだ」

「そう?私はメラメラ燃えてるよ」

師匠が近くで見てくれているんだ。燃えないわけがない。ちなみに師匠は校庭で野良猫とじゃれている。

猫とじゃれる姿が可愛いです、師匠!

「朝から気合十分だね。元気な蒼蝶ちゃんが見れて私は幸せだよ」

「だったら詩織がもっと幸せになれるように気合をいれるよ」

「あはは、頼むね。もっと私を幸せにしてくれい」

しばらく他愛のない話をしていると朝礼の鐘が鳴り、先生が教室にやってきた。

そしてすぐに体育館に行き、剣道の着物に着替えて授業が始まる。

まずは先生からの剣道の基本的な形を学び、竹刀を持たされる。

そして素振り50回と言われた。

「え~、いきなり50回なんて無理だよ!ねえ、蒼蝶ちゃん!」

「あ……、そうだね」

50回なんて朝稽古の6分の1の回数だ。

だから50回なんてまさしく朝飯前。

『この教師、剣道を嘗めてるよね』

ほら先生、師匠がお怒りですよ。それよりも師匠、いつの間にいたんですか?
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