私の師匠は沖田総司です【上】
『さっきからずっとここにいたよ』

「ああ、そうですか」

師匠の存在に気付けないとは、私もまだまだ甘いな。もっと気配に鋭くならねば。

心の中で自分を叱咤した後、素振りを始める。

20回辺りまでみんな頑張るけど、それ以降、素振りが雨乞いみたいになってる人が続出し始める。

私の隣にいる詩織も雨乞いをしていた。

「肩と腕が痛い……」

「詩織、大丈夫?」

「うん、蒼蝶ちゃんは平気そうだね」

日課で素振りをやっていますからね。しかもさっきの6倍の回数を毎朝やっている。

加えて、放課後、家に帰った後も素振りをしています。

『これぐらいで音を上げるなんて、だらしないな』

師匠、ごもっともです。

特に音をあげてる男子。もっと頑張れ。

「じゃあ、素振りも終わったことだし簡単な試合をするぞ。このクラスに剣道部はいるか?」

「はい」

「お、桜木小鳩(サクラギコバト)か」

桜木小鳩。

確かこの学校の剣道部の部長で、剣道の全国大会で優勝をしている人だ。

そして私のクラスの委員長。

彼女は正義感が強く、プライドも高い女子で、おまけに抜群のスタイルと綺麗な黒髪を持つ美女。

さらにおまけにお金持ちの令嬢。

サラリーマン一般家庭の私とは世界が違い過ぎる存在です。
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