私の師匠は沖田総司です【上】
前を見ると既に桜木さんは防具をつけ終えていた。

「おっと……」

初めて防具を付け、ヨロヨロと立ち上がる。

防具って思ったよりずっと重い。

この格好でいつも通り動けるかな。

『蒼蝶、落ち着いてね。ちゃんと相手の動きを見るんだよ』

「はい」

『後、試合に負けたら夕方の練習量は3倍だから』

マジっすか。

別の意味で緊張してきました。

「じゃあ、二人とも位置につけ」

私は桜木さんと同じ作法をしてから、中央に立ち竹刀を構えた。

「安心して、手加減してあげるから」

「あっ、はい」

『蒼蝶は手加減する必要はないからね』

はい、師匠。

「そちらからどうぞ」

「では、言葉に甘えて……」

私は足に力を込め、一気に前に出た。私の突きは彼女の面を掠める。

「なっ……」

「あっ、外しちゃった」

防具の重さで手元が狂ってしまったらしい。防具を付けて戦うのは難しい。

でも、さっきの攻撃でコツはつかめた。

私はすぐに竹刀を振るう。

桜木さんは防戦を強いられていた。

「くっ!」

桜木さんが隙をついて面を狙ってくるけど、師匠に比べたら遅すぎる。すぐに防ぎ彼女の胴に竹刀を打ち込んだ。

「胴あり!」

先生の言葉が体育館に響く。

私、勝った。桜木さんに勝ったんだ。

師匠の方を見ると、笑顔で頷いてくれて

『さすが僕の弟子だね』

と言ってくれました。
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