惑わしの5days・番外編集
大声で手を離す様に訴えかけるが、八雲君は達人級のスルー技術を発揮して更に私の左手を握る右手に力を込めた。


結構大きめな声なのに、賑やかな遊園地内だからそこまで注目を浴びない。


それでもすぐ近くを歩く人達は、ジロジロと私と八雲君を見ていた。


「八雲く……っ」


「光」


「えっ……」


不意に名前を呼び捨てで呼ばれ、どうにか振り払おうとブンブン上下に振っていた腕の動きが停止。


口を開けて八雲君を見ると、彼はまた穏やかな微笑みを浮かべて私の左手を持ち上げた。


「オレ、光と手繋いでいたい………ダメ?」
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