マウンドのプリンス*青空の下、ふたりでずっと*



朝のあいさつをして、今日の日程を先生が話始めた。



わたしは話だけ聞きながらバッグからノートと筆箱を取り出す。



そして何も書かれてない真っ白なページに、左手でシャーペンをぎゅっと握ると



試しに自分の名前を書いてみることにした。



使えない右手でそっとノートを押さえて。



左手でロクに書いたことないけど、読める字は書けるでしょ!と思いながら書いたのに……



「…………」




自分の字はコメントのしようがないくらい汚かった。



まず、行の中に収められるくらいの小ささで書けなかった。



いくら力を入れてもヘビみたいににょろにょろしてるし、他の人が読めるかと考えたらこれは正直キツイと思う。



「はぁ……」



溜め息しか出ない。



利き手が使えないだけでこんなにも不便になってしまうなんて……。



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