マウンドのプリンス*青空の下、ふたりでずっと*
目の前で威力を失った野球ボールがコロコロと転がっているのが見える。
部員のみんなは心配そうな顔をして集まってきて
その中でも部長の柏木先輩は『どこが痛い?』『今、保健の先生呼びに行ってるからね!』冷静にわたしに声を掛けてくれる。
すると前から急いで走ってくる2人の野球部の子が来て
「「すいませんでした!」」
と1年生っぽい部員が申し訳なさそうな顔をして謝ってきた。
部員の1人は片手にコールドスプレーを持って。
「…………っ」
ジンジンする痛みに、この状況を受け止められなくて涙が流れてきて、謝られても返事すらできない。
何度も何度も謝ってくる2人に『大丈夫だから』って言ってあげたいのにわたしにはそんな一言を言う余裕すらなかった……。